大垣の料亭助六のちかげ女将です。
こちらは何かお分かりになりますでしょうか。
「脇息(きょうそく)」と言います。
日本で近世まで使われた脇においてもたれかかるための用具です。
現代では肘掛とも言われますね。
主に明治時代、和室で使用される。
時代劇などでよくご覧になられるのではないでしょうか。
主に大名や貴族などの貴人が上座にて使用しているシーンが見られます。
ですが、実際には私室で用いられ、公式の場に置かれることは無かったのだとか。
『源氏物語』にも登場。
『源氏物語』には脇息の用例が15例ありました。
くつろいで休息したり、病に臥せる人がそれを支えに身体を起こしたり、といった場面で登場します。
また、国宝『源氏物語絵巻』では絵画化もされているのです。
例えば、衰弱した紫の上が脇息に寄りかかって前栽を眺める御法巻の場面など。
さらには、「脇息の上に絵巻を置いて読経する」という場面もあり、文机としても使用されていたよう。
助六ではお客様にくつろいでいただくために脇息をご用意しております。
「脇息」も料亭ならではのおもてなしの一つです。
そして、守っていくべき日本文化の一つでもあります。
肘をお掛けになって、ゆったりと贅沢にお過ごしくださいませ。
料亭の女将は「脇息」でお殿様気分を味わう。